全身の硬直

netakiri

80代の女性の患者さんを2年ほど治療しています。
20年前に腰椎ヘルニアで手術を受け、それ以降徐々に下肢が麻痺して行き、歩行困難と排便・膀胱障害が出てきていました。
活動性が低下してきているので横になっていることと座っていることが多く、全身に痛みがあるということで治療が始まりました。

初回の治療時は気の巡りが悪すぎて、特定の気の滞りを取ることすらできない状態でした。
触診してみると体中にこわばりがあり、特に首や腰、足がひどく、血流も著しく悪く、足は氷のように冷たく、部屋は常に暖房をかけ、ホットパックを置いても足は寒くてたまらないとのことでした。
また常にイライラしていて腹が立ち、感情をコントロールできず、そんな自分への嫌悪感でもさいなまれていました。

治療は20年かけて固くなったこわばりをとって行くのでかなり時間がかかること、また全身のこわばりをとる際に血流が回復して麻痺していた痛覚が回復して一時的に痛みが増加する可能性があることを伝えました。
治療は当面週一回程度から続けることにしました。

初めの1ヶ月は大きな変化は無く、治療後は眠くなるので昼寝をしているとのことでした。
2ヶ月目からは治療後に痛みが一時的に増加し、3日ほどしてから従前より痛みが軽減した状態に戻るようになりました。
気の方は腰を中心に滞りを感じるようになり、そちらを治療しました。

4ヶ月目からは治療後の痛みが出なくなり、足が以前ほど冷えなくなってきました。
そして臀部の筋肉が少しついてきて以前よりは長時間、イスに座れるようになってきたとのことです。

半年が過ぎる頃には背中の肩甲骨のハリがほとんどなくなりました。
それと共にイライラすることがなくなり、色々と世話を焼いてくれる旦那さんに感謝の気持ちを持てるようになったと喜んでおられました。
そして目元の険がなくなり、やさしいまなざしに変わっておられました。

1年が過ぎる頃には、上半身のハリはあまり出なくなり、治療は腰と足が中心になりました。
治療後はほとんど完全に緩み、痛みの増悪などはほとんどなくなり、毎回メンテナンスに近い作業になりました。

初めての治療から2年経った現在は、2週間に一度程度のメンテナンスで治療をしています。
歩行は杖を使って辛うじてできる程度ですが、痛みとハリ、そして足の冷感などがほとんどなくなりました。
イスに座って料理の仕込をしたり、本を読んだりもしているようで、寝てばかりだったあの頃からみたら信じられませんと話されます。
一方で膀胱障害などは思ったほど改善しておらず、ハリ治療でできること、年齢などによる回復の幅など、ハリの可能性と限界については未だに勉強が続いています。