月別アーカイブ: 2014年8月

Cute letter

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時々、治療に来る小さな女の子から手紙をもらいました。
ちっちゃな手で書いたたどたどしい文字が胸にジンと来ました。

治療室には4歳の子供から90過ぎのお年寄りまで幅広い年齢の方が見えられ、中には長いスパンで家族ぐるみでお付き合いすることがあります。すると時にその変化や差異に驚かされることがあります。

ちっちゃな子供は元気で走り回り、じっとしていません。
小学校高学年になった女の子は娘っぽくなっていて、成長の早さに驚かされます。
高校生の男の子はやわらかく、ハリのあるしなやかな筋肉がついていて精悍さを感じます。
子供が生まれたばかりの女性の母性を感じさせる柔らかな美しさにハッとさせれらます。
初めての孫ができたと話す50代の方は還暦前でも相変わらずエネルギッシュで生き生きしています。
70を越えた方はうつ伏せから仰向けになる動作はぎこちなく、子供の直後の治療だと驚きます。
90代の方は少しずつ動作がゆっくりになってきて、その流れはハリでも完全には止められません。
そしてそう遠くない将来、見送ることになるのだろうなという予感があります。

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このように色々な世代の方を治療していると、それぞれが別々の存在でなくて、フィルムが1つの帯のようにつながった存在で、治療室ではその各世代のフィルムの一部に接しているような気分になります。
その結果、少なくとも世代に対する相対的な価値の差を感じることはあまりなくなりました。

うちにご縁のある方はこのフィルムの帯の小さな点に過ぎないのかもしれませんが、そうした方々が元気で明るく過ごせるように誠実に努力して行きたい、と「かわいい手紙」に誓いました。

チベットの儀礼布

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チベット文化圏で「カタ」と呼ばれる儀礼布です。
これは儀式や歓迎などで、相手に敬意と感謝の意を表して贈られます。
表面にはチベット仏教の宝具の、法螺・法輪・宝傘・白い蓋・蓮華・宝瓶・金魚・吉祥紐の「八宝(タシ・タギェ)」と呼ばれる吉祥紋が描かれています。
儀式の席では仏像や仏画にかけたりしていますが、一般では玄関に魔除けとして飾ったり、女性ならスカーフ代わりに巻いたりして使うようです。

ボランティアの治療活動をしていた時にお礼としていただいたので、これを見ると彼の国で過ごした懐かしい日々が思い出されます。

ドイツからの便り

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先日お世話になったドイツの家族からの便りが届きました。
家族の写真と町のガイドブック、それに町の名前が入った帽子と栞です。

この町はフランクフルトから電車で40分くらいの所にあるベッドタウンです。
こじんまりとしているけど、きれいに整備されている美しい町でした。
小さなスタイリッシュな小物のお店、CAFE、映画館があって、
町の中心部の教会からは夕方になると鐘が鳴り響きます。

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写真で見る子供達もすっかり大きくなって見違えるほどです。
一緒にプラムを食べたこと、理解しやすいようにゆったりとした英語で喋ってくれたことが懐かしく思い出されました。

海の向こうから来た患者さん

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最近海外の方をお迎えしました。
40代のアメリカの女性で、長時間のフライトで左臀部から足にかけてシビレと重だるさなどの坐骨神経痛様の症状が出ていました。
そろそろ帰国が近づいているのに症状がずっと続いているので、帰りのフライトで苦しまずに済むように何とかして欲しいということで来室されました。
海外の人がハリに対してどのような反応をするのか興味深々で、またうまく効果を出せるか不安を感じながら治療に入りました。

気の滞りは腰にありました。
触れてみると腰から臀部、そして大腿やふくらはぎの外側にかけて強いハリがありました。
また背中も全体的に強くこわばっていて疲れていることが伺えました。

治療ではまず気の滞りを取り、そのあと横向きに寝ていただいて、足のハリと痛みがあるところを取り、最後に背中のハリを取りました。
そして起きて、歩いてもらうと、不思議そうな顔をしながら「痛みがなくなっている」と話されたのでホッとしました。

治療中はアメリカの話を色々と聞かせていただきました。
印象に残っているのは物事が白か黒かの二者択一であることで、政治や日常のことまでそのことが徹底していて、曖昧なことは良くないと考えているようです。
また現在の世界情勢に関してもイスラエルは中東の小国として頑張っているので助けなければいけない、など日本で報道された米国人の中東観を裏付けるような意見も伺いました。
他にも健康保険が家族3人で月4万円ほど支払っていること、健康保険に加入できなかった知人が盲腸で3日間入院して100万円かかったことなど同国の高額な医療費など印象に残りました。

ちなみにアメリカの鍼灸は中国の人が経営している所は割とあるようですが、日本人がやっている所は近くにはないとのことでした。
うちの治療室が「アメリカでもやっていけますよ」と言って頂いたのはお世辞が入っているのかもしれませんがちょっとうれしい一言になりました。

大切なものを1つだけ

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待ち遠しかった休日が巡ってきて、読みたかった本を手に取りました。
伊集院静さんの旅のエッセイです。
他の誰かの紀行文は、自分もそこを旅していることを夢想したり、読みながら次の旅の候補地を探したりと楽しみながら読んでいます。

その中にあったスペインの画家の話が心の琴線に触れました。
第二次大戦中、ナチスに追われながら家族で国を飛び出す決心をするという話です。
危険が迫り、慌しく身支度する中でその画家は妻に言いました。
「お互いに大切なものを1つだけ持っていこう」
妻はうなずき、彼女は一番大切な「娘」を抱きました。
画家自身は多くの作品の中からこれから創作する一枚のラフ絵を選びました。
立派なアトリエとたくさんのモノに囲まれた生活の中でも、結局彼らにとって価値あるものとは家族と、明日の仕事だったようです。
このシンプルな選択は心に響きました。

振り返って「自分だったら何を選ぶか」と考えた時、鍼道具のことが浮かびました。
小さなケースに入った10cm程度の棒が5本ですが、私の治療を支えてくれる大切な道具です。
一般的な鍼は使い捨てなのでメーカーに依存し続けなければならないのが嫌で、鍼灸師なのに鍼を刺されるのが好きではなかったことから少しずつ刺さない方に移行して、今ではすっかり刺す方は使わなくなりました。
多分ずっとこの道具を使い続けるのだろうなと思っています。

引越すたびにモノを減らしていき、身の回りのモノの数はあまり多くはありません。
画家の夫婦が選んだ二つのうち、一つは手に入りそうにないのですが、この道具を手にした旅するハリの方はこれからも続いていきそうです。

大切なものを1つだけ。
何を選びますか?

頭痛

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頭痛と胃痛が2週間ほど続いている40代の女性が見えられました。
気の滞りが胃の当たりにあり、その流れを整え、そして頭全体がおもだるいとのことで後頭部中心の緊張を緩めて一度目の治療を終えました。

1週間後に2診となりました。
胃の痛みはあれから消えたもののの、頭痛は3日後から前回のぼんやりした重だるさとは異なり額側にはっきりした痛みが出て苦しかったといわれました。
痛いという場所を調べると眉間にはっきりしたシワが寄っていて、日常的にこの部分を緊張させているようです。
頭痛は眉間の鼻根筋から眉毛に沿った前頭筋にかけて帯状に広がっていることを触診で確かめることができました。
なのでその帯状の部分をハリで緩めると頭痛が完全に消えたと話されました。

頭痛はごく稀に脳腫瘍や脳血管障害で起こるものがありますが、それらは手足に特有の反射が現れたり、通常の頭痛とは比較にならない激しい症状が出たり、言葉が出にくかったりすることからある程度判断できます。
多くの頭痛では首、肩、頭のスジに強い緊張が見られることが多く、大抵その辺を治療すれば自然に治っていきます。

無意識との対話

o0480064012787262108鍼灸は元々は中国医学から生まれました。
中国医学は哲学、政治、科学、医術、果ては占いまで、様々な自然現象やヒトの行いを統括する概念を構築しています。
その概念で行き着くところは「気」です。 続きを読む

外反母趾

今日は外反母趾の方が見えられたので、このことについてのうちの治療法について書いてみます。
外反母趾は足の親指内側の関節が変形してせり出して来る疾患で、女性に多く見られます。

直接的な原因は足裏を横切るようなアーチが弱くなって、重心を支えきれなくなって足が横に広がることにあります。
アーチが弱まる間接的な原因は、常時爪先立ちになること、例えばハイヒールなどを履いていて前かがみの重心がかかる生活の継続が考えられます。
このような生活が続くと姿勢を支えるための足指を曲げる筋肉が常に緊張状態を強いられるので疲労します。
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すると足指を曲げる筋力が弱まるので足指は常に浮き気味になり、結果的に足の指を曲げたときに中心に向って重心が働く足横のアーチも更に弱まって、親指のMP関節という部分が飛び出て靴に擦れて痛みます。
しかしその足の指を曲げる筋をさかのぼると、元々フクラハギから延びている筋肉群なので、フクラハギから足裏の筋が治療の中心になります。
そして治療に伴って足裏に流れる血流も改善するので治癒が進みます。

治療室での治療は次のようなものになります。
まず気の滞りを通し、直接痛みが出ている部分に灸をして静め、足裏、フクラハギ、膝、太ももなどの筋を触診しながら異常部位を正していき全体のバランスを整えます。足裏の筋、足表の指先の間の筋を患者さんに指先を握ったり開いたりする動きを交えながら行ないます。
また補助的に横アーチができるようにテーピングを加えることもあります。
最後に、爪先立ちを強いるハイヒールや地面を足指で掴む動きを制限する靴を換えてもらうことと靴紐は面倒でも一々締めなおすこと、セルフケアとして足裏にタオルを引っ掛けるようにして擦って刺激することなどをアドバイスします。

ただし慢性的な変形が数年来続いて変形が激しい時には外科手術も検討し、治療室では手術後の筋肉バランスの安定を目指すことになると思います。

頭痛

目眩 70代

頭痛というと現代病とも言われているくらい多いですが、治療室にもよく見えられます。
発症パターンから3つに分類されています。
多い順に、
1.首、肩、頭などの筋が緊張して起こる緊張性、
2.自律神経の不具合で頭の血管が拡張して周囲の神経を圧迫する片頭痛、
3.猛烈に痛む群発性
などです。

これら以外にもアゴの緊張や虫歯、鼻の化膿なども頭痛が生じることもあり、さらに気の観点から見ると頭痛なのに頭でない場所で異常を感じることがあります。
最近よく見かけるのが、内臓に異常があって頭痛を引き起こしているように感じる患者さんです。
たとえば、鎮痛剤を飲みながら辛うじて頭痛を抑えているある方は胃の近くの気の流れを良くするとそのまま治ってしまったり、胸の辺りの気を整えると鎮痛剤を呑まなくてもいいくらいに改善したりします。

痛みを感じる神経は一旦脊髄付近に集まってから脳に上がるので、この近所で渋滞すると近くを通る神経同士で痛覚が混乱した結果、内臓の異常を頭痛として知覚することがあるようです。
頭痛はごく稀に危険な脳出血や腫瘍に関連することがありますが、多くは筋の異常から起こるもので、レントゲンなどで検査しても中々異常とは見られません。
鍼灸ではこのような症状にも対応できますので、頭痛が治らず鎮痛剤を手放せない方などはお近くの鍼灸院を訪ねてみて下さい。

防寒具

旅の目的地が極寒の地になることもあって、防寒具は耐寒性能の高いものを吟味して選んでいます。
旅先で防寒具を探すのも結構楽しくて、それぞれの土地柄を反映したものが多く、お気に入りばかりです。
私が使っていた、または使おうと思っているブランドを国ごとに紹介します。
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中国のハリ

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縁があって、中国式の鍼を受けてきました。
うちはハリを刺さないのですが、普通は刺します。
中国式というと、太目のハリをちゃんと刺す、いわゆるハリ治療らしいスタイルが特徴でした。

鍼灸師の先生は北京にある医学校を卒業して中医師の資格を持ち、さらに日本でも鍼灸師の資格を取った方です。
私は元々刺激に敏感で、学生時代は教員や同級生の強い刺激の鍼で体調を壊すこともたびたびありました。
なので強い刺激の代表格である中国のハリを受けることはかなり抵抗があったのですが、滅多にない機会だったので清水の舞台から飛び降りるような気持ちで受けてみようと思いました。

診察は仰向けに寝て、まず脈診から始まります。
目を閉じて両手の脈を見ながら次々とわかることを言いました。
「首、に腰・・・腰は特に悪いですね、それに胃もあまり動いてないです」
続いて舌を見て胃の弱さを再確認し、お腹に触れながらストレスに反応するみぞおちの辺り、気に関係するという胸のあたり、生命力を示すと言うヘソ下あたりを触診していきました。

続いてうつ伏せになり背中の診察に入ります。
頭から足先を眺めて体の歪みを見ていきました。
そして皮膚のうち色の抜けた所、筋肉の盛り上がった所、背骨の歪み、背骨の打診音などで体の状態を見ていきました。
そして膝を曲げて股関節を外と内に動かして骨盤のバランスなども確認しました。
こうした一連の作業は治療後の筋の緩みによって調整されるようで、治療効果の目安になるようでした。

こうした診察を経て治療に入りました。
さっそく待ち針を少し細くしたようなハリ(寸3の一番)でポンポンと刺して行きました。
これらは先ほどの診察で予め目星をつけた辺りを触診しながら、筋と筋の隙間にあるという体の穴「体が刺激を望み、刺しても痛みを感じさせないポイント=ツボ」を探し出しているとのことでした。
指した場所は頭と首の境目、背中、腰の下あたりなどでした。
痛みはあまりなく、何かが皮膚を突っついてくるような感じがあるだけでした。
そして「鍼によって刺激された気をうまく外に流すため」と言って、最期に頭のてっぺんと、手足にあるツボ(合谷と太渓)に鍼を刺しました。

刺したまま15分たつとハリを抜き、再び仰向けになりました。
そして首の太い筋を中心に8本くらいを刺し、胃腸などの全体調整ということで臍周りに4本刺しました。
同様に15分置いてから針を抜きました。

治療後に体調を振り返ってみると、まず周囲が明るくなって目の疲れが取れている、そして体が軽くなくなっていました。
そしてその日は早くに眠くなったので早めに床につき、翌朝の寝覚めも良く、体調の良さが実感できました。

私とは方法が違いますが、中国のハリもすごいなと思いました。
学校入学後に初めてこの治療法に接していたなら、この道で来ていたのかもしれませんが、私の場合は縁があって全く違う道を選びました。
それでもどの治療スタイルを選んでも極めればきっと同じ所にたどり着くのでしょう。
いい刺激を受けて、気持ちを新たにできた気がします。