現代日本の医療と食:根本から見直す養生

患者さんがユニークな本を貸してくださったので、備忘録として感想をここに残します。


著者は医師の伊藤慶二氏(昭和4年ー)です。
九州大学を卒業し、産婦人科医としてキャリアを重ねました。
自然療法にも造詣が深く、マクロビオティックを用いた食養生も指導してきました。
現在は山梨県の奥深くに居を構え、悠々自適の生活を送っているようです。

本書は食を中心とした養生についてまとめたもので、2014年に出版されました。
内容は、まず様々な人工的な物質で汚染された現代社会を俯瞰していました。
資本主義が極大化して、様々な欲望を肥大化させ、美食を大食し、不必要なモノを追い求め、そのために長時間労働をして金を稼ぐ。
欲望に満たすことに最適化された社会は自然を汚染し、やがてそれらを取り入れテイル人体にも汚染が広がってきました。
大量生産のために大量の農薬を用いることで、野菜の含んでいる栄養分はここ数十年で著しく減少しています。
汚染された土壌は昆虫や動物の生態にも悪影響を及ぼし、生殖できない個体が増えてきました。
人にはやや遅れて影響し、かつては稀だった不妊患者が近年は激増しています。
同様に戦前はほとんど見られなかったアトピーやクローン病などの免疫疾患も増え続けています。
癌患者も新しい抗がん剤が次々と開発されているにもかかわらず増え続け、膨大な医療費は国家予算を圧迫し続けています。

著者はそうした状況を憂い、健康に生を全うするための養生法を提示していました。
まずは過剰な欲を慎むこと。
怒りや妬みなどネガティブな感情は抱かないこと。
汚染されていない食事を少量食べること。
適度な運動を続けること。
などです。
とてもシンプルなものですが、この当たり前のことを実践するのが難しくなっていることを感じました。
薄い本ですが、大切なことがわかりやすくまとめられていて感じ入りました。