経絡治療について

うちの治療方法とは異なりますが、日本の伝統的な鍼灸術、経絡治療について尋ねられたので、ここにまとめてみます。


【経絡治療とは】
経絡治療は、昭和初期に柳谷素霊を中心に、岡部素道、井上恵理、竹山晋一郎などの若手鍼灸師グループが構築した鍼灸の治療体系です。
日本鍼灸の伝統は明治政府の新医制発足で断絶していたので、彼らはまず著名な鍼灸家だった八木下勝之助や澤田健らを訪ねて、脈診や単刺、太極療法などの伝承知識を蒐集しました。
それらを中医学の理論を元に体系化し、臨床の中で洗練させました。各治療者ごと、時代ごとに技術や理論に差異がありますが、経絡の陰陽バランスを調和させるという共通した目標を持っています。

【経絡治療の概要】
経絡治療では究極的に陰陽バランスの調和を目指しています。
中医学の世界観を元に治療体系を構築し、治療者によって自由な運用が許されていました。
そのため臓腑や寒熱など中医学的に人体を捉えて詳細に診断・治療するスタイルや、技術の核を求めて純化したシンプルなスタイルなど様々な方法が生まれました。
本稿では後者について説明しています。
この方法を考案した代表的人物は岡部素道氏です。
同氏は研究グループの初期メンバーとして活躍して理論と実践を深く学びました。
しかし習得に時間がかかることから、陰経の虚に注目したシンプルな技法を考案しました。
岡部氏の技法は次のような特徴があり、経絡治療各派と共通しています。
「診断は手首の比較脈診で行うこと」、3種の治療点「全身調整の太極療法点」「虚と診断した陰経に行う本治法点」「主訴に直接関係する標治法点」を使うこと、「鍼は浅く(2~3mm程度)刺して15分程度置鍼すること」などです。
術者の主観に左右されるためか、鍼灸学校の教育ではあまり教えられませんが、内科、外科など幅広く対応できるユニークな技法だと思います。