暗がりを照らす窓辺の灯

知人が長期休暇をとってドイツに行っています。
その行程の数々はブログで報告してくれるので、きれいな写真と共に彼の国の記憶がよみがえってきました。

ヨーロッパの国々は都会の方でも夜は薄暗くて、薄闇に包まれた駅舎は重厚な迫力があり、街灯がポツポツと点いているだけのレンガ通りを1人で歩くと心細くなります。
そして緯度が日本より高いドイツでは秋口の日の短さは驚くほどで、朝7時を過ぎてもまだ暗く、夕方は4時くらいになると看板が読めなくなります。

ベルリンについた初日、予約していたホテルは中央駅から40分くらいの所にありました。
本当だったら昼の3時過ぎには着くはずが、痛恨の乗り間違いをして更に北のハンブルクに行ってしまったため、到着した時にはもう5時近くになっていました。
雑踏はすっかり薄闇に包まれていましたが、それでもここは大国の首都、日本の新宿駅のような雰囲気を想像していた私は前述の薄暗さに面食らってしまいました。
最寄の駅についてからは、予めダウンロードしておいたグーグルマップを見てホテルを探しましたが、初めての道の上、暗くて地形が掴めず、全然わかりませんでした。
路上の店も多くは閉店していて、開いている所というとパブかバーのようなとこしかありません。
バックパックを背負ったアジア人が気楽に道をたずねるのは場違いな感じでした。
こういう時の途方に暮れる心細さは、今こうして書いていても冷や汗をかいて胸がドキドキしてきます。
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薄闇が広がる路地で今にも店を占めようとしている店の灯りを見つけたときは何だかホッとしました。
そこは実直そうな70代くらいの男性がやっている時計屋さんで、意を決して道を尋ねてみました。
「エクスキューズミー、サー」
そして英語で行きたいホテルの名前を告げ、住所を英語で書いている地図を見せました。
しかしその方は英語がわからないようでした。
すると身振りで「ちょっと待ってなさい」と告げると走っていき、若い学生のような男性を連れてきてくれました。
この人とは英語で意思疎通ができ、「ああ、そこならこの近くだよ」とホテルに案内してくれました。
そこは1つ隣の通りで、本当にすぐ近くでした。
そして満足にお礼をいう暇も与えずに、ニコッと笑って去って行った後姿は今も鮮明に覚えています。
この異国での親切はありがたく、心に沁みました。
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私が住むこの地も最近はすっかり夜の訪れが早くなりました。
うちの治療室もこの時に助けてくれたお店のように、夜の暗がりの中に浮かび上がる窓辺のような存在でありたい、と思っています。