防寒具

旅の目的地が極寒の地になることもあって、防寒具は耐寒性能の高いものを吟味して選んでいます。
旅先で防寒具を探すのも結構楽しくて、それぞれの土地柄を反映したものが多く、お気に入りばかりです。
私が使っていた、または使おうと思っているブランドを国ごとに紹介します。

マウンテン・イクイップメント(イギリス)
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1961年にイギリスで創業された老舗のブランドです。
創業者のピーター・ハッチンソンはクライマーで、自分のためにダウンやシュラフなどの防寒用品を作ったのが始まりです。
評判は上々で「Mountain Equipment(山用品)」と呼ばれたものがブランド名になり、英国のヒマラヤ遠征隊の装備にも採用されますが、会社が大きくなるにつれて不自由さを感じたハッチンソン氏は離れて、PHデザインを創業します。
ここの製品は適応温度を表示しているのが気に入って、私は80年代のエクスペディションモデルが復刻となったRetro Redline Duvetや、氷点下30度以下にも対応するAnnnapurnaを着ていました。
コストパフォーマンスに優れたブランドですが、円安と近年のダウン不足で年々値上がりしているようです。

ジャックウルフスキン(ドイツ)
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81年にドイツで創業された老舗のブランドです。
ドイツや北欧でこのブランドを着ている人を粋に着こなしている人をよく見かけたので、地元のドイツ人に聞いたところフランクフルトのブランドだと聞いて、さっそく手に入れました。
私は写真のアークティックという非ダウンのパーカを使っていましたが、ハイテク素材の中綿は暖かく、使い勝手が良いので重宝しました。
テキサポールというこのブランド独自の防水透湿素材が使われていて、軽い雨や雪ならビクともしない性能があります。
保温性は寒冷都市レベル。乾燥して肌寒いドイツや北欧でも快適に過ごすことができます。
このアークティックパーカという名称はウールリッチを始めティンバーランドなど色々なブランドで使われていて、米軍の極寒地モデルN-3Bスタイルを踏襲した製品の別名となっています。
中でもここは質実剛健を地で行くようなブランドでおススメです。

カナダグース(カナダ)
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ここは自国内に北極圏を抱えるカナダのブランドです。
シェル部分を肉厚のコットンにして、内側にたっぷりのダウンを詰め込んでいるので、丈夫で暖かく、機能美に優れた逸品です。
近年は日本向けに防寒性能を落とした別注品がリリースされましたが、このブランドの真骨頂は頭1つぬけた防寒性能なので、本国で売り出されている品がお奨めです。
私はレスキュー隊向けのリゾルテ、オーロラ見学などに使われるエクスペディション、カナダ軍に卸していたコンスタブルパーカを愛用していました。
リゾルテは部屋で着ていると汗が出るくらいの保温力で、エクスペディションも電車で着ていられないレベルです。
国内で使うならコンスタブルパーカがお奨めで、これは丈が短く動きやすく、かつ暖かいです。
0度近い温度でのバイク通勤や氷点下10度を下回る雪祭りで活躍しました。

★フェールラーベン(スウェーデン)
北欧スウェーデンの総合スポーツメーカーの作っているダウンジャケットです。
子狐をブランドロゴに採用していて、スウェーデンの友人の一押しで、実際に同国ではこのロゴの服やリュックを使っている人を多く見かけたので人気があるようです。
私はエスキモージャケットというのを着ていたのですが、先のカナダグースのようにナイロン素材の外側にコットンベースのシェルを縫い付けているので保温力、耐久性などがかなり高いものでした。
氷点下30度以下でも耐えられるというもので、スウェーデン王室の御用達としても知られ、クオリティの高さには定評があります。

ヨーツェン(フィンランド)
世界最北端にあるダウンメーカーです。
フィンランドは国土そのものが北極圏にあるため、防寒具は地に足が着き、それでいてエレガントな品物を作り続けています。
ダウンジャケットに加えて羽毛布団でも有名で、空気を包んで羽毛が膨張する割合で防寒性能の高さを示したフィルパワーという値が世界最高峰とされるダウンを原料に使っています。
なので、ここの製品を着て行けない極寒地はないでしょう。
日本の代理店はまだなく、個人輸入でしか手に入らないと思います。

PHデザイン(イギリス)
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イギリスを代表するのはこのブランドです。
英国は歴史的にヒマラヤや北極などに探検隊を送り出してきたお国柄で、エクスペディションに関しては一日の長があります。
これはダウン研究に生涯を捧げたピーターハッチンソンという人が創業したブランドで、自らガチョウを飼育し、防寒性能を高める縫製手段まで研究して作った逸品は名だたる探検隊に採用されてきました。
代表的なのはナイロン素材の外側に丈夫なコットンを縫いつけたものです、私は写真のVentileという製品を愛用していました。
見た目は非常にシンプルなのでビジネスシーンでも違和感のないものですが、羽織ってみると本当に暖かくて驚きました。
この製品は目に付きにくい部分にも手を抜かず、縫製もステッチを二重にしたり、ダウンを漏れにくいように小部屋ごとに封入するなど小さな工夫を重ねています。
そしてシェルには毛足の長い希少なコットンを超・高密度に編みこんで防水性を持たせたものが有名です。
かつてイギリス軍でも採用された特殊な製法で、コストがかかりすぎると廃止になったいわくつきのものですが、同社は頑なにその製法を守って作っています。
そのため中々いいお値段となっていますが機能・耐久性・シンプルなデザインから一生物になってくれると思います。

ノースフェイス(アメリカ)
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総合アウトドアブランドとして日本でも人気ですが、北米でも圧倒的なシェアを持っています。
ここの防寒具はマクマードなど有名どころがありますが、何と言っても「ヒマラヤンパーカ」がフラッグシップモデルになります。
南極大陸の撮影では日本のテレビクルーの多くが使用していて、分厚いシェルに寝袋並みのダウンがパンパンに詰まっていて、氷点下50度に対応できるというのは伊達ではありません。
私も愛用していましたが、部屋で着ていると汗が噴出し、氷点下の寒さの中でも下はロンT一枚で大丈夫という驚異的な保温力を持っています。
シェルがコットンでないので耐久性が劣りますが、その分コストパフォーマンスに優れた製品で時々バーゲンにものることがあるので狙い目です。

ヴァランドレ(フランス)
ピレネー山脈などへの遠征を援助してきた老舗のアウトドアブランドです。
主に氷点下30度前後の極寒地で使える防寒具を扱っています。
収納袋にコンパクトに収納できるダウンジャケットが有名ですが、ここの寝袋も登山家たちの厚い信頼を受けています。
フランスを代表する質実剛健なブランドで、近年ファッション性に特化したモンクレールよりこちらの方を気に入っています。
日本では石井スポーツが長年取り扱いをしています。

★セイルレーシング(スウェーデン)
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スウェーデンのヨーテボリという港町で生まれたブランドです。
ヨットマンが遭遇する極寒の洋上でも対応できるような高い防寒・防風性能を持っています。
私が使ってたのはポーラージャケットというもので、ダウンは700フィルパワークラスのものを使い、それを耐久性の高い高密度に織り込んだコットン素材で包んでいます。
ちょうどカナダグースと同様の構造を取っているので、耐久性、防寒性はトップクラス、国自体が極寒なのでその品質は折り紙つきです。
落ち着いたデザインにアメリカズカップのワッペンがアクセントとなっていて、北欧らしさを取り入れたバランスが絶妙でお気に入りです。
決して安くはありませんが、コストパフォーマンスが高い良品だと思います。

★エディ・バウアー(アメリカ)
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エディーバウアー は1920年アメリカ・シアトル創業の老舗アウトドアブランドで、アメリカの登山家や極地遠征隊をサポートしてきました。
私のお気に入りはフラッグシップモデルの「ポーラーパーカー」です。
「極寒のアラスカで使える」「エスキモーの使用に耐えるもの」などのコンセプトで作り込まれたもので、通常の2倍もの圧倒的な量のダウンがパンパンに詰め込まれています。
80年代からロングセラーとなっている完成されたデザインで、南極観測用に作られたノースフェイスのブルックスレンジと双極と称えられた名品です。
国内ではほとんどの地域でオーバースペックで、電車や車には暑すぎて乗れないと思います。
シェルも65%ポリエステル 35%コットンで着心地の良さと耐久性を両立させたハイブリッド素材です。
フロントは4つボタン(90年末に出た後期改良型)と上下に開くダブルジップと内部の覆いで3重となり、袖先はリブ編みで更に細いパイピングに覆われるなど耐久性と防風性能を高めています。
ボディのナイロンとダウンは半離脱構造になっていて、この部分の隙間に空気の層ができるため冷気が伝わりにくくなっているなど様々な工夫がこらされています。
コストパフォーマンスの高いブランドで、円安となった現在でも割安感があります。

★コロンビア(アメリカ)
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ここはアメリカの老舗のアウトドアブランドで、日本で言うところのモンベルのようなコストパフォーマンスの良い製品を送り出しています。
私が使っているのはアイスウインドというダウンパーカです。
パンパンのダウンが入っていて氷点下30度を越える極寒の地で活動できる驚異的な防寒性能があり、内外にたくさんのポケットがあるので手ぶらで出かけられるという優れものです。
シェルはコットン生地ではないですが、ザックなどにも使われるような強化ナイロン素材が使われています。
フードには凍結防止加工フェイクファー(環境への影響を最重視してリアルファーの使用を控えています)が使われています。
本国との価格差もほとんどないので、初めて手にする本格的な防寒具としておススメです。

防寒具はやはり極寒の土地柄を国土に持つ国のものが優れているように感じます。
私の住居地は冬季には氷点下30度を下回る極寒の地ですので、帰国後は買ってきた防寒具の性能をチェックしながらその暖かみを噛み締めています。